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2013-04-11(Thu)

ゲゲゲの鬼太郎 School Days ~中学生編~②

やっとですが、続きUPすることができました!

kita-schooldays-titleillust-pre-s_20130411230006.jpg

今回は、事件に次ぐ事件、そして妖ちゃんの真の姿が垣間見えます
それでもまだまだ謎の多い存在…

また横丁メンバーや、ゲスト的キャラもいます!
その辺りも楽しんでいただけたら嬉しいです(*^^*)


          


pixivで読む方はこちらから、
早速読まれる方は追記よりお進みください


3.予感

 ネコ娘に案内された殺人現場は、厳めしい面をした刑事や鑑識でごった返していた。
「被害者は、この森の近くに住む23歳の女性で、死因は腹部を刃渡り18センチ程度の鋭利な刃物で刺されたことによる失血死、死亡推定時刻は昨夜、7月10日の午後9時から10時の間…今のところ分かっているのは、このくらいよ」
ネコ娘はメモ帳を見ながら好況を説明した後、鬼太郎をそっと見た。
「何か、感じる?」
「いや、別に…」
鬼太郎は、もっと感度を強くしようと妖怪アンテナを高く立て、目を瞑った。が、しばらくして、鬼太郎は顔をしかめた。
「おかしい…何も、感じない」
「え?」
鬼太郎の一言に、ネコ娘は戸惑った。
「どういうこと?」
「普通、こういう場所には、成仏できない魂、それが無くても、死者の念が少しは残っているものなんだ。人生半ばで殺されたのなら尚更…なのにここには、何もない」
その時、一人の鑑識が、私服の刑事に話しかけた。
「目暮警部!ここの林を少し入った所に、何か荒らされたような跡が…」
「本当か?もしかしたら、そこが本当の殺人現場かもしれん。案内しろ!」
「ハッ!」
鬼太郎は、ネコ娘に目配せし、刑事や鑑識の後をこっそり追った。
「…!!」
鬼太郎は、ふいに何か強烈なものを食らったかのような顔で立ち止まった。
「どうしたの、鬼太郎?」
「…ネコ娘、そのバイトの子が感じたオーラは、ここのだろう」
「…え?な、何、これ…」
刑事たちが立っている場所は、地面の所々が大きく抉れ、木が何本か倒されていた。その木のあちらこちらには、真新しい傷がついていた。
「き、鬼太郎…もしかしてここが…」
「いや、ここは殺人事件とは関係ない」
鬼太郎が、根の大部分が掘り起こされている気に触れて言った。
「これは誰か封印師が、妖怪を封印したんだ。六芒陣の跡が少し残っている。よほど凶暴な妖怪だったんだろう」
「じゃあ、封印された妖怪は何?」
「待って、今確かめる」
鬼太郎は、再び妖怪アンテナをピンと立てた。
「…一目連?」
鬼太郎が感じた妖気は、確かに一目連のものだった。一目連は、凄まじい風を巻き起こす妖怪として知られている。しかし、風の神、鍛治の神として祀られている良い妖怪でもあるのだ。地面の穴は風のせいだとして、何故こんなにも強引に封印されたのか?
「…?」
鬼太郎は、ふと足元に落ちているものに気付いた。
「髪の毛…?」
鬼太郎がその黒く長いものを拾い上げた時、鑑識の一人が近づいてきた。
「ダメだよ、子供が勝手に現場に入っちゃ!」
鑑識はそう言って、鬼太郎の手にある物に目を留めた。
「それは髪の毛じゃないか!被害者の物か、あるいは犯人の髪だとしたら、需要な証拠になる。良かったらそれ、おじさんに渡してくれないかな?」
「あ、はい」
鬼太郎は慌てて返事をし、髪の毛を渡した。その時、こっそり髪を1~2センチ切り取り、ティッシュに包んだ。
「それ、どうするの?」
鬼太郎がティッシュをポケットにしまうのを見て、ネコ娘が訊いた。
「夜行さんが、この前 人間界の会社からDNA鑑定の装置を買ったらしいんだ。妖怪の分類をもっと詳しく研究するためにね。それを借りて、これが誰のものか、調べてみる。何か、変な予感がするんだ…」
カァァ、カァァ…。大きな鳴き声をあげて、一羽のカラスが鬼太郎のところへ降りてきた。足には『きたろうさんへ』と書かれた手紙が括りつけてあった。
「ありがとう、カラス君」
鬼太郎は手紙を受け取ると、封筒を破いた。
「えっと…『さいきん、わたしたちといっしょにあそんでくれていた くらぼっこというようかいさんが、いなくなってしまいました。くらぼっこさんは、わたしたちのたいせつなおともだちです。さがしてください。おねがいします』…」
「それって…『時が来た』からなんじゃないの?」
ネコ娘が、首を傾げて言った。
「ほら、倉ぼっこって、座敷童子と同じで、家に来ると栄え去ると家が廃れるって言うじゃない?」
「あぁ、僕もそう思…ちょっと待って、他に何か入ってる」
鬼太郎は封筒を逆さまにし、中身を出した。出てきたのは、何かを包むように丁寧に折られた便箋だった。開くと、『くらぼっこさんがいつもいたところにおちていたものです』という文字が書かれ、その下にその『もの』がセロハンテープで貼り付けてあった。
「こ、これは…」
それは、黒く長い、髪の毛だった。
「鬼太郎、もしかして…」
「あぁ…今日の事件と関係があるのかもしれない。この毛も、夜行さんに調べてもらおう」
鬼太郎は、別のティッシュでその髪の毛を包み、区別がつくように近くにあった木の実を潰して紅い印をつけると、ネコ娘に向かって無言で頷いた。ネコ娘もこくんと首を振り、二人は森の中へ消えていった。

 次の日、鬼太郎は学校を休んだ。警察の捜査が落ち着いたところで、もう一度現場を徹底的に調べようと思ったのだ。
―――本当の事を言うと、心の中にできたモヤモヤとした気持ちを紛らわせるために何か動きたいと思ってふと現場に足を向けたと言った方がいいかもしれない。
 しかし、これといった収穫はなかった。証拠という証拠は、すべて警察が回収してしまっていた。

…夜行さんから結果が来てから、直接本人に訊いた方がいいかもしれない。
そう思い直し、鬼太郎は帰路についた。

 その夜、学校から、生徒の一人が自殺したという連絡網が入った。


4.襲撃

 雨の日の朝、鬼太郎は重い足を学校へ向けて動かしていた。夜行さんから、鑑定の結果が届いたのだ。それは、予想していた通りだった。
鬼太郎は校門の前で溜め息をつき、灰色の校舎の中へと入った。
 今日は、先日自殺した伊東直美という生徒を偲ぶ会が行われることになっていた。学校には、黒服の人々が続々集まってきて、会場の体育館へと入っていった。
 教室の中では、智華が茫然と窓の外の雨を見つめていた。直美は、智華の親友だったのだ。いつもなら、妖が教室に入ってきた時、お化けについて何か文句をつけるが、今日は何も言う気力がないようだった。
「ねぇ、直美が自殺した原因って何なの?」
クラスメイトの眞衣が訊くと、智華は力なく答えた。
「さぁ」
「前日に、ケンカとかしなかった?」
「してたら、とっくに警察に言ってるよ」
そう言って、智華はハッとした。
「…これ、あの時も言った」
「あの時?何それ?」
「…え?」
智華は額を押さえ、眉をしかめた。
「いつだっけ…思い出せない…」
「おはよー、玄田っ」
いきなり背中をバンと叩かれ、鬼太郎は咳き込んだ。
「…に、二宮くん、おはよう」
「お、名前覚えてくれたか、よかった」
祥吾はもう一度鬼太郎を叩くと、自分の席に座った。
「…しかし、よく自殺者が出る地域だな、ここは…」
「え?前にもあったの?」
鬼太郎は、思わず尋ねた。
「あぁ。小6の時。学校の屋上から飛び降りたんだ。確かそん時も、こんぐらい盛大にお別れ会なんか開いてさ…あれ?」
祥吾は眉間にしわを寄せた。
「誰だっけ?死んだの…何でだろ、分からないな」
鬼太郎は、もしやと智華の方を見た。
「京極さんも、同じ学校だった?」
「え?智華か?あぁ、同じ小学校だったけど、それがどうかしたのか?」
「…いや、ただ気になっただけ、ごめん」
鬼太郎はそう言って鞄を開けた。
「そういえば、鬼河」
祥吾は、横を通りかかった妖に声をかけた。
「お前、昨日駅前の裏の神社に入ってったよな。何してたんだ?」
鬼太郎はハッとした。あの殺人事件の現場の近くだ―
「別に」
妖は、さっさと祥吾の横を通り過ぎようとした。祥吾は、ちょっとイラっときたのか、妖の腕を掴んだ。
「教えてくれたっていいじゃないかよ」
「くだらない用事よ。貴方には関係ないでしょ。放してくれる」
鬼太郎は、初めて妖の声を聞いた気がした。抑揚のない、感情の消えた声。
―まるで、操られてるみたいな。
(…え?)
鬼太郎は、今聞こえた自分の心の声に、ひどく驚いた。まさか、彼女は…
でも…今相手は目の前にいるのだ。そんなはずは…
「はーい、みんな、席に着いて」
担任の、雨宮香保先生が教室に入ってきて、教卓に出席簿を置いた。
「今回の事は、とても残念でしたね。しかし、皆さんは受験生です。1つの事でくよくよしていては、未来は掴めません。彼女の事は早く忘れることです。いいですね」
「は?何でよ、直美が死んだことが、『1つの事』だって言うの?」
直美と仲の良かった真理が反発した。それに続き、クラスメイトも次々反発し始めた。
「伊藤は事故ったり殺されたんじゃない。自殺したんだよ?オレ達にも何か原因があるかもしれねーじゃねぇか!」
「そうよ!もう気になって、受験勉強どころじゃなくなっちゃうわよ!」
「お黙りなさい!!」
雨宮先生が、出席簿で教卓を思い切り叩いた。
「何で、こう聞き分けのない生徒たちばかりなんでしょう。先が思いやられますわ。このクラスは今日も授業をするよう、教頭と相談してみましょう」
そう吐き捨て、先生はツカツカと教室を出て言った。
 一瞬、教室の中が水を打ったように静かになったが、それも束の間、一秒後には教室中が文句の嵐となった。
「何が『先が思いやられますわ』だ!それはこっちのセリフだっつーの!あんなだから、あの歳になっても結婚できねーんだよ」
「それより、あたしたちだけ授業やるなんてひどいよ!友達が死んだっていうのに、さよならを言う時間もくれないなんて」
「ねぇ、あんな先生無視してさ、体育館にみんなで行こうよ。訳の分かんない理由で授業受ける必要なんてないよ」
「そうだな、行こうぜ」

 偲ぶ会参加の是非については、担任の方が折れる形となり、あまり混乱は起きずに済んだ。午前中降り続いた雨も、午後には止んでいた。
「…にしても、誰だったんだろう?」
放課後、教室の掃除をしていた祥吾がふと口にした。
「何が?」
鬼太郎は、掃除当番ではなかったため帰る支度をしていたが、その手を止めて訊いた。
「小6の時、自殺した子…名前がどうしても思い出せないんだ」
「京極さんも、そんなことを言っていたよ。前にも同じようなことがあったけど、思い出せないって」
「あぁ、だからさっき、智華も同じ学校だったかなんて聞いてたのか」
「う、うん…」
「その時は、絶対に忘れないって、思ったんだけどなぁ…帰ったら卒アル見て調べてみるよ。確か、そこに載ってたから」
「何の話してるの?」
いきなり智華が割り込んできて、二人は跳びあがった。智華は、二人を軽く睨んだ。
「私の悪口言ってたとかじゃないでしょうね」
「い、いや、卒アルの話だよ。それ見たら、小6の時の、あの子の名前分かるんじゃないかって…」
「卒アル?」
智華が顔をしかめた。
「そういえば、私も名前が思い出せなくて、アルバム探したの。でもなかった。アパートから一軒家に引っ越してきた時に、なくしちゃったみたい…」
そこまで言って、智華はキッと顔を上げた。
「ていうか、何で今小6の話なの?それより今は直美の事でしょ」
智華は怒って踵を返し、教室を出て行ってしまった。
「まぁ、怒んのも無理ないな…友達が死んだのに、昔の友達の死なんて思い出したくないだろうし」
「うん…」
その時―
「!!」
鬼太郎の妖怪アンテナが、急に激しく反応しだした。
「…どうしたんだよ?」
いきなり頭を押さえた鬼太郎を見て、祥吾が怪訝な顔をした。
「いや…ちょっと用事を思い出したから、職員室行ってくる」
鬼太郎はそう言うと、教室を飛び出していった。

アンテナが察知した妖気は、殺気と呼べるくらい強いものだった。
鬼太郎は、理科室の辺りまで妖気を辿ったが、そこで足が止まってしまった。妖気があまりにも強すぎて、どこから出ているのか全く分からないのだ。
「クソッ、こんな時に…」
廊下を走るなと注意する教師の声を無視して、鬼太郎は手当たり次第に疾走した。

ちょうどその時、智華は職員室に出席簿を返しに行こうと、階段を下りていた。いつもと変わらない校内。しかし、踊り場まで来た時、何かがおかしいと思った。外の陽が、もう落ちているのだ。まだ4時なのに…
そう思った次の瞬間、階段の照明がフッと消え、周りが真っ暗になった。
「ちょっと誰よ?電気消したの」
智華は、呆れ声で叫んだ。
静寂。
「ねぇ、誰かいるんでしょ、返事しなさ…」
そう言って前を見て、智華は自分の目が変になったと思った。そして、自分の頬を思い切りつねってみた。痛い。夢ではない…
「うそ…」
階段を降り切った先には、赤い目の、何か得体の知れないものが蠢いていた。
「きゃあああぁぁ!!」
智華はその物体に出席簿を投げつけ、階段を駆け上がった。後ろから、ガサガサと何かがついてくる。
逃げなきゃ…!
智華は咄嗟に、近くのトイレへ駆け込み、入り口の戸に鍵をかけた。その時、スイッチに手が引っかかったのか、トイレの電気がついた。
「いやあああぁぁぁっ!!」
世にも恐ろしい光景だった。入り口のガラス戸に、目が血走った、髪の異様に長い蒼白な女の顔が、へばりついていた。外から、鍵をこじ開けようとするような、ギシギシという音がする。
逃げたい、と思ったが、足がすくんで動けない。もう、ダメだ…
「早く、こっちへ!」
自分で考える間もなく、足が動いていた。声に反応して振り向くと、トイレの個室の一つから、誰かが手招きしている。
 智華がそのトイレに入ると同時に、バァンと大きな音がした。鍵が破られたのだ。
得体の知れない化け物は、猛り狂った獣のように突進してきたが、自分がいる個室の手前で、何かに阻まれて跳ね返った。
「ふぅ、結界が何とか間に合ったわ」
智華は、その声の主を見た。おかっぱ頭、赤いスカートの、小さな女の子。
「でも、破られるのは時間の問題だわね…」
「あ、あなたは…?」
女の子が、智華を横目で見上げた。くりっとはしているが、鋭い目だった。
「私は花子。…君、針女に襲われるなんて、祠でも壊したのかしら?」
「し、してないわよ!」
「そう、ならいいけど。じゃあ、私が奴を引き付けるから、その間に逃げなさい」
「え…えーっ!?」
 その頃、鬼太郎は現場のトイレの近くまで来ていた。
「こんなに妖気が強いのに、どこにも見当たらないなんて…」
鬼太郎は近くの階段の手すりにつかまり、一息ついた。ふと顔を上げると、目の前にめちゃくちゃに壊されたトイレのドアがあった。
「ここだ…!」
鬼太郎はすぐに、そのトイレに駆け込もうとした。が、丁度通りかかった誰かに、思いっきりぶつかってしまった。
「ご、ごめん、大丈夫!?」
「…えぇ」
ぶつかった相手は、妖だった。
「痛くなかった?」
鬼太郎はそう言って、妖に手を伸ばした。すると妖は、何かに感電したかのようにビクッと体を震わせ、鬼太郎の手を振り払った。
「あ…」
妖は、たった今鬼太郎に気付いたかのように顔を向けた。
「ご、ごめんなさい…」
鬼太郎はハッとした。妖の顔に、さっきまでは無かったもの―表情があった。一体何があったのか分からず、戸惑った顔。その一瞬、鬼太郎はさっきまで何をしていたのか忘れた。
「い、いや、僕の方こそ…」
その時、トイレの中から悲鳴が聞こえてきた。
「しまった…!」
鬼太郎は、慌ててトイレの中へと入った。
 中では、花子がトイレにある全てのトイレットペーパーを操り、針女に応戦していた。しかし所詮それは紙、簡単に破られた。
智かは、個室の中でただ震えていた。とても逃げられる状況じゃない。
「だ、だれか、助けて…」
もはや、花子の張った結界は限界だった。あちこちにヒビが入り、いつ壊れてもおかしくなかった。
「もう、トイレットペーパーは無理だわ…水を使う手もあるけど、妖力をかなり消耗してしまう…」
花子がそう思った一瞬の隙を突かれた。結界は粉々に破られ、さっきまで飛び回っていたペーパーや雑巾やバケツやモップが、力なく床に落ちた。
「!!」
殺られる…そう思って智華は体を縮めた。が、急に誰かが自分の腕を掴んだ。
「げ、玄田君!?」
鬼太郎は、個室から智華を引っ張り出し、さらに入口へと押した。
「早く、逃げるんだ!!」
智華は黙って頷いた。智華が離れたのを確認すると、鬼太郎は針女に向き直った。
「もう好き勝手にはさせないぞ!」
髪の毛を剣に変えて持ち、鬼太郎は身構えた。針女は、痩せこけた恐ろしい笑顔を鬼太郎に向けた。
「フン、甘いねぇ、坊や」
次の瞬間、鬼太郎は壁に打ち付けられた。針女は、鉤針状の髪の毛を素早く鬼太郎の首に巻きつけた。
「くっ…」
鬼太郎は、思わず剣を放し、自分の首を絞めるけから逃れようともがいた。
「悪いけど、邪魔する奴には消えてもらうよ」
針女は、床に落ちた剣を拾うと、鬼太郎の心臓に刃先を向けた。

バァン!!

鬼太郎は、何が起こったのか分からなかった。気が付いた時には、自分は床に投げ出されていた。
「な、何奴!?」
その声で鬼太郎は我に返り、周りを見回した。そこに立っていたのは、封印札を握りしめた妖だった。妖は、無言のまま札の一枚をゆっくりと顔の高さまで持ち上げた。彼女の瞳には、目の前の敵を倒すという確固たる意志が見えた。
「お、おのれぇー!!!」
激昂した針女の髪の毛が、一斉に妖に襲いかかった。が、妖が掌で札を前へ突き出すと、妖と針女の間に暗号の壁が広がり、針女の攻撃が跳ね返された。針女は、その勢いで窓ガラスを破り、外へと落下していった。
妖はすぐにその後を追い、窓から飛び降りた。鬼太郎もすぐ後を追おうとしたが、外のいつも通りの明るさに目が眩んだ。下のグラウンドではサッカー部が練習をしていたが、得体の知れないものが降ってくるのを見ると、一斉に逃げ出した。
 妖は、空中で6枚の札を放った。それは針女を囲むように六芒陣を形作り、針女の動きを封じた。
(この六芒陣…まさか…)
鬼太郎の頭を嫌な予感がよぎったが、今は針女を倒すのが先決だ。鬼太郎はポケットに入れていたちゃんちゃんこを握りしめ、地上へと降りて行った。
 妖は、新しい札を手に持ち、封印の段階に入っていた。が、その時、針女の髪の一本が、ナイフのように妖に向かってきた。六芒陣の呪詛が不完全で、針女の動きを止め切れなったのだ。
「危ない!!」
鬼太郎は思わず、妖を抱えるように横に飛んだ。鋭い針が鬼太郎を掠め、髪を数本とブラウスを裂いた。
「髪…」
妖が、小さく呟いた。その後も何かブツブツ言っていたが、キッと顔を上げ、手をポケットに入れた。周りの生徒たちが、固唾を呑んでその様子を見ていた。妖は、ゆっくりとポケットから手を出した。その手には、短刀が握られていた。
「あ、妖ちゃん、ダメだ!!その技を使ったら…」
鬼太郎は、妖がやろうとしていることを瞬時に理解した。が、それを止める間もなく、妖は自分の髪を掴み、肩の辺りから一気に切り落とした。妖は、相手と同じもの、この場合は髪の毛を用いることで、力を相殺して封じ込めようとしているのだ。しかし、この技は多大なエネルギーを必要とし、妖力をほとんど持たない人間が使用した時は、死に至る可能性がある。
「やめるんだ!もし、取り返しのつかないことになったら…」
鬼太郎は、強い口調で警告した。だが妖は、鬼太郎に穏やかな笑顔を向けた。
「ごめん…でも、智華を襲ったこの妖怪だけは、許せない」
微かな声でそう呟き、妖はキッと前に向き直った。
「…汝、瞋恚の炎を燃やす者よ、怒りを忘れ、鎮まりたまえ」
妖は、髪の毛を札で包み、力を込めた。妖の力のすべてが、札へ注がれていく。
 切れかかっていた六芒陣を、針女が引き裂いたのと同時に、綾の髪が幾重もの光となり、針女に巻きついた。針女の体は封印の光に飲み込まれていき、断末魔の叫びをあげ始めた。それは、世にも恐ろしく、また神々しい光景だった。
 鬼太郎は、ふと妖のほうを見て愕然とした。妖の体も、光と共に、わずかに消滅し始めていたのだ。鬼太郎は無意識に妖の手を握った。
「!」
妖は驚いて目を丸くした。鬼太郎の妖力が注ぎ込まれ、体が、少しずつ元に戻っていく。
「僕も力を貸す。封印を続けて」
「でも…」
妖は、じっと鬼太郎を見つめた。恐らく今、鬼太郎の正体を悟ったのだ。
「うん…ありがとう」
妖は、鬼太郎の手をそっと握り返した。針女の体はより強い光に包まれ、やがて大きな一つの光となると、風に飛ぶ塵のように消え去った。

この時、鬼太郎は知らなかったが、パトロールをしていた化けガラスの通報を受けて、横丁ファミリーも出動していた。学校に到着したのは針女の封印が終わった後だったが、それ故に鬼太郎が知らない女の子と手をつないでいる衝撃的瞬間を目撃してしまった。
一番ショックを受けていたのは、ネコ娘をはじめとする横丁の女妖怪達だ。
「…これは、鬼太郎追跡部隊を再結成する必要ありだわ」
「確かに、横丁のアイドルとしては放っておけないね!」
「あれは、芝居じゃないじゃろうし」
「そうだわ、鷲尾さんにも手伝ってもらいましょう」
「いざという時の為に、大風呂屋敷の地獄風呂の湯でも汲んでおこうか」
「…何に使うのよ、それ?」
こんな恐ろしい事態になっているとは、もちろん鬼太郎はつゆ知らず―

 5分かそこら、誰も動かなかった。皆、目の前で起こった現実にショックを受けていた。
その沈黙を破ったのは、智華だった。
「妖…」
智華は、おそるおそる妖に近づいた。
「智華…」
「…妖、ごめんね…私、妖のこと、ずっと…」
「ううん、いいの…智華は悪くない。謝るのは私のほう…私がしっかりしていれば、あの時あんな事は怒らなかっ…」
急に、妖の膝ががくんと折れた。崩れるように跪き、体が震えはじめた。
「…あ、妖?」
鬼太郎は、すぐに妖のそばに駆け寄った。
「妖ちゃん、大丈夫?」
 妖の顔が、あの時に戻っていた。感情のない、何も見ていない顔。小さな粗い呼吸の音だけが聞こえてくる。
鬼太郎は、そっと妖の肩に触れた。その途端に震えは止まった。
「妖、顔色悪いよ?保健室に行った方が…」
「ううん、平気…」
妖は、ゆっくり立ち上がり、鬼太郎に向かって寂しげな笑みを見せた。
「ありがとう。…じゃあ」
「あ…」
妖は、風のような速さで校庭を駆け抜け、門の外へと姿を消した。この場合、「また明日」とか気の利いた言葉をかけた方がいいと思ったが、何故が言葉が出てこなかった。
「…ごめんね、妖…」
智華が、妖が消えていった方を見て、うつむいた。
「私…あの時、どうかしてた。中学受験を控えてるせいもあってイライラしてて、妖にひどいこといっぱい言っちゃって…」
智華の目に、うっすら涙が浮かんでいた。鬼太郎は、黙ってその話に耳を傾けた。
「妖怪なんて迷信だとか、作り話だとか、そんなものと付き合ってる妖は気持ち悪いとか…小さいころからずっと妖と一緒にいて、分かってたはずなのに…最後には、うんざりよ、私のところに来ないで、とか言っちゃって…それで妖は…妖は…」
智華はそこで言葉を切ると、じっと考え込んだ。
「それで…」
智華はしばらく頭を抱え、ハッと顔を上げた。
「ごめん、玄田君にこんなこと言っても、意味わからないよね。ホントごめん…あ、私、塾あるから帰らなきゃ…また明日、玄田君」
「あ、うん…」
鬼太郎は、一度手を振って智華を見送ると、ふぅとため息をついた。さっき見た六芒陣…その形も、今鬼太郎がポケットの中に入れている見つめたくない真実を裏付けている。
鬼太郎は、ポケットから紙切れを出した。それは、夜行さんから受け取った鑑定結果だった。そこにははっきりと、『鬼河 妖』の毛髪であると明示されていた。
「妖ちゃん、君は…」
鬼太郎は、認めたくないというかのように、紙切れをクシャっと丸め、放り捨てた。紙切れは、夕暮れの風に舞い、夜の帳の中へと消えていった。

その後、鬼太郎は帰路についたが、危険をメールで知らせるという鷲尾さんの機転のおかげで、校門の外で頭から熱湯を被らずに済んだ。(代わりに、たまたまそこにいたねずみ男が熱湯の洗礼を受けた)





<続く>





どうでしたでしょうか?(><)
次回から、敵の影がちらつき始める…予定です(苦笑)
そして横丁キャラも続々出てきます!
気長にお待ちくださいませ


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コメント

いや~すごいですね!
今後の展開が気になります><
続き楽しみにしてます♪
(あまり感想になってないですね^^;)

ちなみにやっとさっきからネットができるようになりました!
またブログ拝見させていただきますね☆

ちょっと記事には関係ないですが、
去年東京であった「ゲゲゲの鬼太郎トリックアートの館」が青森であるそうです!
私は、熊本であっているので先月3時間もかけて行きました^ ^;
詳しいことは下に載せておきますので、もし行けたら行ってみて下さいね☆

すみません><
載せてませんでした><
こちらです↓
http://www.youkai.co.jp/index.php/archives/1757

Re: 麻衣子さんへ

> いや~すごいですね!
> 今後の展開が気になります><
> 続き楽しみにしてます♪
> (あまり感想になってないですね^^;)

ありがとうございます♪
マイペースにですが、連載続けたいと思ってます!
お待ちくださいね(^^)

> ちなみにやっとさっきからネットができるようになりました!
> またブログ拝見させていただきますね☆

どうぞどうぞ!
息抜きがてらにでも、お立ち寄りいただければ(*^▽^*)

それと、トリックアートのお知らせ、教えてくださってありがとうございます!
行けるようなら行ってみたいです~☆

Profile♪

ねこたん♪☆

Author:ねこたん♪☆
出身地:秋田県
血液型:AB型

コナン、鬼太郎が大好き!進撃の巨人、鬼灯の冷徹にもハマり中♪ 
好きなキャラは、コナン君、世良真純ちゃん、鬼太郎、蒼兄さんetc…
(詳しくは一番最初の「初ブログ」記事を見てくださいね!)
単行本派+サンデー派=どっちも派(*^_^*)
高山みなみ署長を全力応援☆
そして秋田ケンミンなので秋田も応援!

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