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2012-12-20(Thu)

冬の日のめぐりあい

本当に、本当に待たせてしまってすみませんm(><)m

麻衣子さんからのリクエスト「コナン×鬼太郎」の小説が書きあがりました!

kitaroconan-snow-s.jpg
illustration by TWIN-MIX

今回は、冬を舞台に、ほのぼのとした話を書いてみました

途中、鬼太郎とコナンを合わせるために、コナンの世界ではありえない描写がありますが、そこはどうか温かい目で読んでください

また、麻柯さん・まきさんからのリクエストは、現在執筆中です。
完成するまでもう少しお待ちください



pixivで読む方はこちら

すぐに読む方は下をクリックしてくださいね
  

1.白い雪

ある、冬の日…
妖怪横丁の奥、ゲゲゲの森を抜けた先―
そこには、木に乗せるように作られた古い家があった。その家では、ゲゲゲの鬼太郎という幽霊族の末裔が、父親の目玉親父と共に暮らしている。
 今日は、ネコ娘に、人間界のコンサートに行かないかと誘われていた。鬼太郎は身支度を整えると(といっても、いつもの服にマフラーを巻いただけだが)、ワンセグでとある怪盗と小学生探偵の対決の特集番組を見ていた目玉親父に声を掛けた。
「じゃあ父さん、行ってきますね」
「おぉ、ネコ娘によろしくな…そうじゃ」
目玉親父は茶碗風呂から出て貯金箱の方へ行くと、そこから千円を出して鬼太郎に渡した。
「これでネコ娘に飲み物でも買ってやりなさい」
「は、はい」
鬼太郎は、笑顔でそれを受け取ると、外に出、冷たい風の吹く中を下駄の音を響かせて走っていった。

「コナン君?早く、行くよ~!」
「あ、は~い!」
コナンは蘭に急かされ、慌ててセーターを着た。今日は、園子の誘いで、今人気の歌手が一堂に会するスペシャルコンサートに行くことになったのだ。
「ガキンチョ、早くしないと置いてくよ~!」
(ほっとけ…)
コナンは、事件・推理は大好きだが、音楽には特段興味がなかった。本心では、コナンは今日は出かけずに、昨日買ってきた推理小説をじっくり読み耽りたかった。しかし園子がどうしても行くと言って聞かなかったので、状況がこじれる前にコナンの方が折れたのだった。
ジャンバーを着てリュックにスケボーを入れ、事務所に向かうと、蘭と園子が今日出演するアイドルの話で盛り上がっていた。
「まず注目はAYAちゃんでしょ!それからAKBに…」
「お父さんは、沖野ヨーコちゃんを一番前の席で見るって、朝から出掛けて…あと他に誰が出るの?」
「GARNET CROWとか、倉木麻衣とか?あ、復活したばっかのTWO-MIXも出るって…」
「あの…準備できたんだけど!」
蚊帳の外にいたコナンが、怒ったように叫んだ。
「あ、ごめんコナン君!」
「んじゃ、いっちょ行くとしますか!」
ムッとしたコナンの手を引いて、蘭は園子と外に出た。
「あれ?」
蘭が空を見て首を傾げた。灰色の空から、雪がちらちらと降ってきていた。
「今日、雪の予報だったっけ?」
「え?一日中晴れだと思ってたけど…」
園子も、急に降ってきた雪を、訝しげに見つめた。

鬼太郎は、横丁の灯籠を出ると、最寄りのバス停に向かった。すると、歩いているうちに、雪が降り出した。
「…雪?」
確か父さんが見ていたワンセグのニュースでは、予報は晴れだったはずだ。思えば、予想気温よりもはるかに寒い。
「鬼太郎!」
ふいに、鬼太郎を呼ぶ声がした。振り返ると、そこには雪女の葵が立っていた。
「あ、葵ちゃん…何でここに?」
「私も猫ちゃんにコンサートに誘われたんだけど…ごめんね、私が来たから天気が雪になっちゃったみたい…」
そういうことだったのか。鬼太郎はそこで合点がいった。
「いやいいよ、気にしないで」
鬼太郎が言うと、葵は鬼太郎のマフラーをしげしげと眺めた。
「それ、手作り?」
「え?あ、これはネコ娘がくれたんだ」
「ふ~ん…」
葵はそれとなく顔を背けると、「じゃ私はクリスマスに手袋でも…」と呟いた。
「…ん?何か言った?」
「あ、うん、何でもないよ!さ、混むから早く行こ!」
葵は、鬼太郎の手を掴み、無理やり鬼太郎を引っ張っていった。

コナン達が会場に着くと、ホールは開演間近なのに人でごった返していた。どうやらこの雪で交通ダイヤが大幅に乱れたらしい。
「ちょっと時間かかったけど、歩いてきて正解だったね…」
「ホント、車使ってたら今頃外の大渋滞に捕まってるよ」
園子が、窓の外に見える車の行列をみて溜め息をついた。
『ご来場の皆様、まもなくAホールでの「Winter Concert」が開演いたします。入場されていない方は、お早目に席にお着きください』
「え、ウソ、もう始まる?」
急に流れたアナウンスに、園子が目を丸くした。
「急がないと、トイレ行く前に始まっちゃうよ!」
「別に大丈夫じゃない?チケットがあればいつでも出入りできるし…」
コナンが言うと、園子がキッとコナンを睨んだ。
「あのねガキンチョ、このコンサートは初めの歌手紹介が見所なのよ!それだけは見逃したくないの!ホラ早く行くわよっ!」
「…ヘイヘイ」
コナンはジト目で返事をすると、園子と蘭について、会場の人混みの中を縫うように歩いて行った。
コナン達が座った席は、丁度真ん中あたりで、一番ステージが見えやすい場所だった。コナンは席に座って一息つくと、追跡眼鏡の望遠機能で小五郎を視認した。遠くからでもバッチリわかるほど、沖野ヨーコのグッズで身を固めている。
「ハハ…」
コナンが苦笑した時、ステージ袖から司会者らしき女性が出てきた。女性は頭に大きなリボンをつけ、冬にぴったりな淡いピンクの衣装を着ている。
「皆さん、大変お待たせいたしました。日売テレビ主催、第7回Winter Concert、開幕です!!」
女性が元気よく開幕宣言すると、音楽が流れ始め、会場内が興奮に包まれた。
「それでは、今夜歌って下さる歌手さんの登場です!!」
その時、フッと会場が真っ暗になった。するとスポットライトが上を照らし、魔女の格好をした沖野ヨーコがワイヤーに吊られた箒に跨って登場した。
「うわ~!!」
その後も様々な歌手が、客席に急に現れたり人気のキャラにコスプレして出てきたりと、工夫を凝らした登場をした。中でも、AKBが全員ホームズコスで「踊る人形」のポーズをしながら出てきたときは、コナンも身を乗り出して見ていた。
「何だかんだ言って、ガキンチョも楽しんでるじゃない」
園子が、コナンを突っついてニヤニヤ笑った。コナンは「そ、そんなんじゃないよ!」と言って、心の中で(うっせーなバーロー…)と呟いた。
最後に出てきたのはTWO-MIXだった。そして彼女らが歌のトップバッターとなり、「TRUTH」や「HOLY NIGHT DESTINY」などを熱唱した。また倉木麻衣の「Winter Bells」や「白い雪」、AYAの「Sweet Magic」、GARNET CROWの「Mysterious Eyes」など、冬らしい曲や明るい曲が場内に響き渡った。

第1ステージが終わると、コナンはトイレに行こうと会場を出た。みんな、ステージとステージの間のミニパフォーマンスを見ているためか、人はまばらだった。
「えっと、トイレは…」
コナンは、この会場に来るのは初めてだったので、トイレの場所が分からなかった。案内板等を探したが、全く見当たらない。
「おかしーな…こういうでかい会場なら、普通あるよな…」
「…おやぁボク、道に迷ったのかなぁ?」
急に、後ろから声がした。見るとそこには、茶色い汚らしい布を被り、頬に変なヒゲを生やした男がいた。
「…べ、別にいいです」
コナンの頭の中で、「こいつは不審人物だ警報」が鳴り響いていた。
「私でよければ、案内してあげるよ~!もち、案内料かかるけどね~」
やっぱり。コナンはその男を軽蔑の眼差しで見た。男の後ろ手にまわした手の中に、取り外したのだと思われるトイレの看板が見える。
「…おじさん、物を壊すのは犯罪だよ」
コナンはそう一言だけ言うと、スタスタと向こうへ歩いていった。
「あ、おいボク、ちょっと!案内料っつっても、100円ぐらいしか取らないから~!」
「…ねずみ男!」
その時、その場に女性の凛とした声が響いた。コナンが気になって振り返ると、肌の白い、長い髪を後ろで束ねた女性が、男のヒゲをつかんで吊り上げていた。
「ちょ、いてててて!」
「何やってんのよこんなトコで。ちゃんとその看板、係の人に謝って無償で直しなさい!このバカ」
女性は、そう言って男を放り投げた。そして呆然としているコナンを見て、「ごめんね」と言った。
「このバカのせいでみんなに迷惑かけて…」
「え、いや別に僕は…」
「トイレはあっちよ」
「あ、ありがとうございます」
コナンはぺこりと礼をして、女性が指差してくれた方に駆けていった。
「ふぅ…」
コナンは、トイレを済ませ、時計を見た。第2ステージが始まるまで、あと5分ほどだ。席に戻ろうとトイレから出た時、誰かの声が聞こえた。
「…じゃあネコ娘、そろそろ僕、席に戻らなきゃ」
「あ、そうね、そろそろ私も準備しないと」
振り返ると、自分が入ったトイレの奥は、出演者・スタッフの控室になっていることに気付いた。そして手前から2番目のドアの所に、司会をやっていた大きなリボンの女性と、一人の少年が立っていた。女性は司会者らしくお洒落をしているのに対し、少年は素足に下駄という冬にあるまじき格好だ。
(…ん?あの子、どこかで見たことあるような…)
コナンはふと考え込んだが、「もうじきコンサート再開」の音楽が聞こえてきたので、慌てて駆けていった。

その時、鬼太郎も、駆けていく少年を見とめていた。
「あれ、あの眼鏡の子…」
鬼太郎は、今朝父さんが観ていたワンセグを思い出した。間違いない、その時に出ていた少年探偵の子だ。
「あの子…父さんの携帯で見た時から、何か不思議な感じが…」
鬼太郎は、少年が気になって、彼が行った後を足早に歩いて行った。

2.お互いの秘密

コナンは、Aホールの入り口に到着すると、取っ手に手を掛けた。と同時に、ドアが内側から勢いよく押し開けられ、コナンは反動で地面に倒された。
「あ痛っ…」
「チイッ、このガキ、気をつけろや!」
ドアから出てきた二人組の男が、謝りもせずコナンを睨んだ。そしてお互いヒソヒソと話しながら、会場の出口の方に向かった。
コナンは、文句を言って改めて取っ手を掴んだが、急に手を止めた。
(おかしい…)
コナンはそっと男たちの方を振り返った。男の片方が、スマホを取り出して誰かに電話をかけている。
(何で、もうすぐ始まるっていう時にホールから出たんだ?)
コナンは、外の壁に盗聴器を貼り付けるとホールに入り、ドアをうっすら開けて男を観察した。もう客はみんなホールに入ってしまっていて、男達以外誰もいなかったので、声は盗聴器越しでもよく聞こえた。
「…あぁ、Sはバッチリ手に入れたで…やっこさんはH用意しとるんやったな…」
コナンは、その電話の内容にハッとした。まさか、こいつら…
「…平気やて、アソコにゃ、シャブ中がぎょうさんいてるからな…」
コナンは確信した。S、H、シャブ中は、麻薬関係の隠語だ。ということは、奴らは、麻薬密売人…!!
すぐにコナンは自分の席に戻ると、リュックからスケボーを引っ張り出した。
「あ、コナン君どこ行くの!?」
蘭の制止も聞かずに、コナンは会場を飛び出した。男達は丁度、黒い大きな車に乗りこんでいた。
(逃がすかよ!)
コナンはスケボーに飛び乗り、スイッチを入れた。そして、黒い車の後を、猛スピードで追いかけて行った。

しかし、しばらくして、追跡を断念せざるをえなくなった。先の積雪で、タイヤに雪が絡まり、スケボーが動かなくなってしまったのだ。
「クッソ、こんな時に…」
コナンは、小さく舌打ちをしてスケボーから降り、今度はスケボーを抱えて走った。すると、少し行った先の公園の前に、あの車が止まっていた。
(よし、取引先はここか…んじゃ、早く警察に連絡してこいつらを…)

パァン!

公園の中から、冷気を引き裂く音が響いてきた。
(…銃声!?)
コナンは、生け垣の陰に身を隠すと、中の様子を窺った。
そこにいたのは、さっきコンサート会場にいた男二人と、その仲間と思われる二、三人の男だった。そしてもう一人…会場で司会者の女性と話をしていたあの男の子が、奴らに取り囲まれて倒れていた。胸の辺りが、血で赤く染まっている。
(やべぇ!!!)
コナンはポケットから変声器を取り出し、ダイヤルを回すと、思い切り叫んだ。
『警察です!どうかしましたか!?』
『こ、公園の中で、子供が…!!』
「!?」
男たちが、その声にビクッとして振り向いた。そして「撤収だ!」という誰かの声で、男たちは慌てて車に乗り込み、走り去っていった。
コナンは、男たちがいなくなったのを確かめると、男の子のほうに駆け寄った。
「だ、大丈夫ですか!?」
その時、男の子が、ゆっくりと起き上った。
「え?」
男の子は、平然と雪を払うと、何かを脇に捨てた。よく見るとそれは、小さな弾丸だった。コナンが驚いて顔を上げ、さらに驚いた。先ほど撃たれた筈なのに、服には穴一つない。
「ふぅ」
男の子は息を吐き、懐から小さな袋を取り出した。そして、キョロキョロと周りを見た。
「えっと、とりあえずこれを警察に届けないと…って、あれ?さっき警察が来てたような…」
「あ、えっと…」
コナンは困った。変声器で咄嗟に警察が来たように装ったなんて、普通の人は信じないだろう。
「あのさ、お兄さん…」
「…ん?な、何だい?」
鬼太郎もその時、内心困っていた。鬼太郎はコナンが気になってかなり後ろの方を付いてきていたのだが、ずっと先の公園の方に不穏なものを感じて、一反木綿に乗って駆けつけたのだ。あの距離で先回りなんて、人間業ではできない。
とりあえず鬼太郎は、「どうしたの?誰か一緒じゃないの?」と言った。
コナンは、この男の子に「警察はどこか」と突っ込まれると思っていたので、きょとんとした。それからしどろもどろに、「だ、大丈夫だよ、一人で帰れるから…」と言った。
「鬼太郎~!!」
その時、あのトイレの場所を教えてくれたお姉さんが、公園に入ってきた。
「何があったの?急に会場抜け出して…」
コナンは、頭が混乱した。さっきこの少年は、鬼太郎と呼ばれていた。本当にそうなら、この寒い中素足に下駄履きなのも、変なちゃんちゃんこを着ているのも一応納得できる。しかし、有名な妖怪漫画の主人公が、ふらりと現れるなんて、探偵としては到底納得できなかった。きっとコスプレか何かなのだろう。コナンはそう思うことにした。
「あ、葵ちゃん…実は、これなんだ」
鬼太郎が、あの袋を差し出し、葵は顔をしかめた。
「…覚醒剤、ね…」
葵は、袋を手に取り、懐に仕舞った。
「私、これ警察に届けてくるわ。鬼太郎は、その子を送ってあげて。売人がまだこの近くに残ってるかもしれないし」
「うん、分かった」
鬼太郎が返事をすると、葵はふわりと舞い上がり、雪の中へ消えていった。
(…え?)
コナンは、自分の顔が引き攣るのを感じた。群馬の山中の屋敷で、巨大コウモリまがいの物体を見た時もそうだったが、今回はそれ以上だ。
「じゃあ、行こうか」
鬼太郎の声に、コナンはハッと我に返った。
「あ、うん…」
コナンは、今はとりあえず、鬼太郎について行くことにした。変な浮遊トリックを考えるのは、その後でいいだろう。
 公園を出ると、雪は次第に止んできたが、かなり積もっていた。コナンは何度も足を取られ、転びそうになった。
「うわっ!」
急に、コナンの体が沈んだ。雪で地面が見えず、丁度排水溝が開いていたところに、足を突っ込んでしまったのだ。
「危ない!」
咄嗟に鬼太郎は、コナンの手を掴んだ。
(え?…この子…)
鬼太郎はその時、変な感覚を覚えた。掴んだ手を引っ張り上げ、コナンが「ありがとう」と言ったが、鬼太郎は何も言わずコナンを不思議そうに見つめていた。
「…どうしたの?お兄さん」
「ん?あ、ごめん、何でもないよ」
鬼太郎はそう言いながら、さっきの事を反芻していた。…コナンの手に触れた時、コナンの思考が逆流してきたのだ。いきなり空を飛ぶ妖怪を見てびっくりするのは当たり前だが、その奥にあった意識を読んだ時、鬼太郎は驚いた。頭のいい小学生。キッドキラー。…そんな言葉では表せないものが、そこにはあった。
(まさか、こんなことが…)
TVや新聞の上から、忽然と姿を消した高校生探偵…鬼太郎も現代を生きているから、彼のことは知っていた。でも、こんな姿になっていたとは…
さらに、何かとても強く感じたものがあった。ぼんやりとしか見えなかったが、黒服の長髪の男、何かの薬、銃口、茶髪の少女、そして、会場でコナンといた女性…
「?」
コナンが不審そうな顔をしたので、鬼太郎は考えるのをやめた。あまり人間と関わりすぎるのは、双方にとっても良くない。それは長年の経験から分かっていた。鬼太郎はコナンに「早く戻ろう」と言って、また歩き始めた。
「ちょっと待てや」
ふいに、背後からどすの利いた声がした。コナンが振り返ると、そこには10人ほどの男が、後ろ手にして立っていた。
(こいつら、さっきの…!)
コナンはそっと、手を後ろに回して、麻酔銃を構えた。男の中の一人が、ニヤニヤして近づいてきた。
「ボク、公園で君が拾った袋、返してもらえねぇかなあ?アレがねぇと俺達、商売にならなくてよ…」
男の腰の辺りの腰の膨らみに、コナンは男が拳銃を持っていることを確信した。何とかしねぇと…とコナンが思った時、鬼太郎が口を開いた。
「ここにはないよ。今、友達が警察に届けに行ってる」
「何!?」
男は顔を赤くし、腰に手を伸ばした。しかし鬼太郎は怯むことなく言葉を続けた。
「…おじさん達、悪い事は程々にしないと、閻魔大王様は全てお見通しだよ」
鬼太郎の声は、先程と比べて格段に低く、顔も暗い。コナンは、その表情に軽い恐怖感を覚えた。
「あん?何だとゴラァ!!」
男は、腰から拳銃を引き抜き、鬼太郎に向かって撃った。だが鬼太郎は、至近距離から撃たれたにも関わらず、軽やかな身のこなしでいとも容易く弾を避けた。
「-ッ!!」
男達は、それに逆上し、二人に襲いかかった。それも、さっきのように手ぶらではない。拳銃、金属バット、ナイフ…それらが、一気に向かってきた―
 しかし次の瞬間、一気に5人ほどが呻いて倒れた。コナンの麻酔銃と、殺人的なサッカーボールが炸裂したのだ。ただ、コナンの武器では、一度にそれが限界。しかも、凶悪な大人がまだ5人残っていて、こちらは子供2人。力の差がありすぎる…そう考えた一瞬の隙に、コナンの頭上に真剣が振り下ろされた。
「…!」
コナンは避けようとしたが、雪に足を取られて思うように動けない。やべぇ、このままじゃ、やられる…!!

ガツン!

急に、鈍い音がした。見ると、鬼太郎が下駄を両手に持ち、それで真剣を受け止めている。
(し、真剣白刃取り…)
コナンが目を丸くしたのも束の間、鬼太郎は手に力を込めて、刃をバキッとへし折った。
「大丈夫かい?」
「あ、う、うん…」
鬼太郎はコナンに微笑むと、今度は金属バットを振り回してきた男の下に潜り込んだ。
「え?」
コナンには、何が起こったのか分からなかった。パンチを食らわせたにしては威力が少なかった。火花が散ったようにも見えたが、スタンガンを持っている気配はない。が、男は、声にならない声を上げて倒れた。
(ふぅ…体内電気を最小出力で出すのって、難しいな…)
鬼太郎は一息つき、男達が怯んでわずかに離れているのを見ると、突然コナンの手を引いて走り出した。
「あっ、コラ待てこのガキぃ!」
下駄履きなのに、そうは思わないほど鬼太郎の足は速い。コナンは、てっきり人通りの多い場所へ抜けるのかと思ったが、鬼太郎は迷うことなく、路地裏に向かった。
「ちょっとお兄さん、この辺りは奴らのテリトリーだよ!下手に動いたら…」
その時、前のほうから男達の声が聞こえてきた。きっと、仲間に連絡が入ったのだ。
(言わんこっちゃねぇ!)
どのみち子供の足では、すぐに追いつかれて捕まるだろう。早くここから出なくては…
「そこの曲がり角を左へ!」
鬼太郎が、急に叫んだ。そして曲がった途端、そこで鬼太郎は立ち止まった。
「ちょ、ちょっと、何を…?」
「じっとして」
鬼太郎は神経を研ぎ澄ますように、目を瞑った。
「お、お兄さん…?」
その時、男の一人がヌッと曲がり角に現れた。
『動かないで』
思わず引きそうになったコナンに、鬼太郎がそっと呟いた。
『動くと雪に足跡がついて気づかれる』
『は?』
コナンは声のするほうを向いた。が、姿が見えない。手を繋いでいる感触はあるのに、その手がないのだ。ふと下を見ると、自分の体も、透明人間のようになっていた。
「あのガキ共、どこに消えやがった!?」
「足跡、ここで止まってるぞ!」
「おい、あれじゃねえか!?」
男が、そばに下がっていたロープに目を留めた。そのロープは、傍の建物の屋上へと続いている。
「あいつら、これで上に…」
「フッ、馬鹿なガキだ…よし、俺は正面に回る。お前らは非常階段から上って、ガキを追い詰めろ!」
(あ、あのロープ…)
離れていく男達を見送り、コナンは気づいた。あの色は、鬼太郎が巻いていたマフラーと同じだ。
「さぁ、ここから離れよう」
奴らが行ってしまい、鬼太郎の小さな声が聞こえた途端、フッと体が元に戻った。思った通り、鬼太郎はあのマフラーをしていない。
「早く、奴らが戻ってくる前に」
「う、うん…」
コナンは、鬼太郎に手を引かれるがままについて行った。

コナンと鬼太郎は、会場には戻らず、近くの喫茶店に入った。クリスマスムード満点の店内で、コナンはブラックコーヒー、鬼太郎はココアを飲みながら、一息ついた。
「…さっきはごめんね、お兄さん…」
「ん?」
「危険な目に遭わせちゃったし…それにさっきのマフラー…」
「あ、いいよいいよ、僕は君が無事で良かった」
鬼太郎はそう言って微笑んだ。コナンはそっと微笑み返した。何故かは分からないが、この人といると不思議と安心感がある。
…でも、人なのだろうか?
急に、そんな疑問が頭をよぎった。単純に考えれば、自ら鬼太郎と名乗っていて、漫画にあるような不思議な技を使っているのだから、もしかしたら妖怪かもしれない。とはいえ、妖怪なんて存在を認めていたら、完全犯罪目白押しだ。さっきの戦闘にしても、小柄とはいっても武道をやっていて強い人なんていくらでもいるだろうし、見えないようにスタンガンを持っていたとすれば問題はない。姿を消すトリックだって、怪盗キッド並の人物ならいくらでもできるだろう。
 ―だけど…
「…大丈夫?」
鬼太郎が心配そうに訊いた。
「え?あ、う、うん、何でもないよ…」
コナンは、ぎこちなく笑い、頬を掻いた。
「僕たちも、警察行かなきゃね…あいつらを目撃したの僕たちだし」
「うん、そうだね…」
鬼太郎は、コナンに微笑んだ。その時、急に喫茶店のドアがカランカランと音を立てて開いた。
「コナン君!」
「ら、蘭姉ちゃん!?」
店内に入ってきたのは、蘭と園子と小五郎だった。
「もう、どこに行ってたのよ?心配したじゃない!」
「ご、ごめんなさい…だけど、何でここに?」
「さっき、知らない人からメールがあったのよ…ここにコナン君がいるから迎えに来てくれって…」
蘭がそう言ってケータイを見た。
「…ん?確かここに保存したと思ったんだけど…」
「それより、何で会場から出たのよ、ガキンチョ?スケボーなんか持って」
「しばらく経っても戻ってこねぇっつうから、会場の周り探してたんだぞ?」
園子と小五郎が、不満そうな目で言った。おそらく、コンサートの途中で探し始めたのだろう。
「あのね、実はさっき、麻薬密売人を偶然見つけちゃって、それで…あれ?」
店内を見ると、さっき向かいでココアを飲んでいたはずの少年の姿は、どこにもない。蘭たちが入ってくるのは見たが、出て行った人は誰もいないはずなのに…
「ま、麻薬密売人!?そ、それで?」
「あ、うん…追いかけたんだけど、逃げられちゃって、それで、えっと…」
さすがに、まだ考えが整理できていないうちに、「ゲゲゲの鬼太郎」に会ったなんて事は言えない。
笑ってごまかしながら、コナンは、残されたココアのカップを見つめた。

「…ありがとう、ネコ娘…あの子の居場所、連絡してもらって…」
「いいのよ、まだ鬼太郎はケータイ使いこなせないし。でも…これで良かったの?」
店の外で、中の様子を覗いていた鬼太郎に、ネコ娘が言った。
「うん、いいよ。このまま警察に行ったところで、自分のことをうまく説明する自信は無いし」
そう言いながら、鬼太郎は寂しそうに笑った。
「さぁ、行こうか」
ネコ娘は、そっと頷いた。二人は店から離れ、雪の降る中へと消えていった。

3.風花

「…あら、あなたがそんな本を読むとは、思ってなかったわ」
朝の読書の時間に、灰原がコナンの机に近づいてきて言った。コナンは、鬼太郎の漫画を熱心に読んでいた。
「てっきり、一昨日発売の推理小説を、眉を寄せて読み耽ってると思ったのに」
「うっせーな」
コナンはあの日から、どうもあの少年が気になってしょうがなかった。それでついつい、図書館から鬼太郎の本を借りてきてしまったのだ。
「…なぁ灰原、もしいきなり自分の体が消えたら、どう思うか?」
「はぁ?なによ急に、怪盗キッドのトリックでも検証するつもり?」
「いや、そういうわけじゃねーんだけど…」
コナンはじっと考え込んだ。探偵として、あの不可思議な出来事をと解き明かさないわけにはいかなかった。だが、考えても考えても、一向に答えには辿り着かない。
「おいコナン、何読んでんだ?」
「それ、鬼太郎の本じゃない?」
「へぇ~、コナン君もそんな本読むんですか~!」
コナンの周りに、元太、歩美、光彦が集まってきて、物珍しそうにコナンを見つめた。
「べ、別にいいだろ!」
コナンは元太達の好奇の目を払うと、ふと窓の外を見た。晴れてはいたが、雪が降り始めていた。
(雪、か…)
コナンは、あの時を思い出していた。灰原の体が元に戻り、杯戸シティホテルでジンと対峙した時…蘭と、まだ正体を知らなかった赤井秀一が、電話ボックスの前で言葉を交わした時…あの時も、確か雪だった―
(…あれ?)
コナンはふいに目をこすった。何かが、窓の外に見えた気がしたのだ。だが何度目を凝らしても、それは見えなかった。
「…いいの?コナンとかいう子に声かけなくても」
少し離れた上空では、一反木綿に乗った鬼太郎とネコ娘が、1Bの教室の中をそっと見ていた。
「どうしても気になるから、また会いに来たんでしょ?」
「いいんだ。それよりごめん、ネコ娘…せっかく作ったマフラー、駄目にしちゃって…」
「あ、気にしないでよ~!」
ネコ娘は笑って、手をひらひら振った。
「鬼太郎が、あの子を助けるためにしたことだもん。そうだ、また編んであげる。今度はもっとあったかいやつ」
「ありがとう、ネコ娘」
鬼太郎はお礼を言い、またコナンの教室を見てフッと微笑んだ。
…おそらくあの少年は、これからも自分の運命に立ち向かわなくてはならないのだろう。しかし、それを乗り越えられるだけの力を、あの子は持っている。密売人と出会った時のあの行動力を、鬼太郎は思い出していた。
「頑張れ、工藤新一君…」
そう呟き、鬼太郎たちは空の彼方へと去って行った。


こうして、ある冬の日の不思議な出来事は、静かに幕を閉じた―



<終>



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コメント

小説読みました!
すごくよかったです☆
私の理想な感じで(●^∀^●)
お疲れ様でした☆
ありがとうございます^^

Re: 麻衣子さんへ

> 小説読みました!
> すごくよかったです☆
> 私の理想な感じで(●^∀^●)
> お疲れ様でした☆
> ありがとうございます^^

読んで頂けて、喜んで頂けて嬉しいです(*^▽^*)
また遊びに来て、色々なお話を聞かせてくださいね♪

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ねこたん♪☆

Author:ねこたん♪☆
出身地:秋田県
血液型:AB型

コナン、鬼太郎が大好き!進撃の巨人、鬼灯の冷徹にもハマり中♪ 
好きなキャラは、コナン君、世良真純ちゃん、鬼太郎、蒼兄さんetc…
(詳しくは一番最初の「初ブログ」記事を見てくださいね!)
単行本派+サンデー派=どっちも派(*^_^*)
高山みなみ署長を全力応援☆
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12.5.12 「ねこたん♪☆room」開設
12.5.14 カウンター設置
13.3.21 10万ヒット突破
13.5.12 ブログ開設一周年
     ブログ名を「Promenade*」
     に変更
13.7.28 20万ヒット突破
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